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業務用3Dスキャナーの選び方と活用方法 おすすめの機種を4つ紹介!

現代社会における様々な業界に数多く存在する課題を解決する手段のひとつとして、今、業務用3Dスキャナーが大きな注目を集めています。対象物を非接触でスキャンし、高精度な3Dデータを取得できるこの技術は、設計、開発、品質管理から文化財の保存、医療、エンターテインメントまで、あらゆる業界でその活用範囲を広げています。

しかし、いざ導入を検討しようにも、 最新技術に対する漠然とした悩みから、最初の一歩を踏み出せずにいる方も多いことが現状です。

本コラムでは、業務用3Dスキャナーの導入で失敗しないために、押さえておくべき選び方のポイントから、具体的な業界別活用事例、そしてプロの視点で厳選したおすすめの最新機種4選まで、専門的な知識を分かりやすく徹底解説します。

業務用3Dスキャナーとは

業務用3Dスキャナーとは、現実世界の物体が持つ形状を、コンピューターで扱える高精度な3次元のデジタルデータ(3Dデータ)に変換するための専門的な装置です。

対象物に触れることなく、レーザー光や特殊な光を照射し、その反射を捉えることで、物体の表面形状を無数の点の集合体(点群データ)として取得します。このデータを元に設計、解析、検査など様々な用途に活用できる3Dモデルを作成します。

近年ではスマートフォンアプリや数万円で購入できる個人向けの3Dスキャナーも登場していますが、業務用スキャナーとは明確な違いがあります。その違いは主に「精度」「速度」「安定性」そして「価格」です。

業務用3Dスキャナーの進化

業務用3Dスキャナーは、近年目覚ましい進化を遂げ、ものづくりの現場に革命をもたらし続けています。その進化の道のりは、単なる性能向上にとどまらず、測定の概念そのものを大きく変えるものでした。

さらに2000年代以降、レーザー光やパターン光を利用した「非接触式」3Dスキャナーが登場し、状況は一変します。従来と比べ圧倒的なデータ取得の高速化とその手軽さから製造業を中心に広く普及することとなりました。

ハードウェアの進化と同時に、取得した3Dデータを処理するソフトウェアも大きく進化しました。設計データとスキャンデータを重ね合わせ、その差異を色で分かりやすく表示する検査機能や、スキャンデータから設計データを作成するリバースエンジニアリング支援機能などが高度化・自動化され、誰でも直感的に扱えるようになっています。

そしてこの先、業務用3Dスキャナーの進化はAIやロボティクス、クラウド技術と融合し、ものづくりのデジタルトランスフォーメーション(DX)を牽引する中核技術として、その重要性を増し続けています。

3Dスキャナーの方式と形態

業務用3Dスキャナーを理解する上で重要なのが、「方式(どうやって測るか)」と「形態(どんな形か)」という2つの軸です。この2つの組み合わせによって、スキャナーの特性や得意な用途が決まります。

業務用3Dスキャナーの方式

方式(どうやって測るか):測定の原理

3Dスキャナーが物体の形状をデータ化する際の、根本的な技術や原理です。

光源の種類や数によっていくつか種類が分かれますが、いずれも光源から出た光をカメラが読み取ることで形状を読み取ります。データ化したい対象物の大きさや材質、どこまで精細なデータを取得したいのかといった要素で適切な機材を選定すると良いのではないでしょうか。

業務用3Dスキャナーの形態

形態(どんな形か):スキャナーの物理的な形状

スキャナー本体の物理的な形状や設置方法です。前述の方式との組み合わせで機材そのものの使い方や、取得可能なデータの精度に大きな違いが出ます。主な形態は以下の通りです。

ハンディタイプ固定タイプその他の専門形態
形状手で持って使用する小型・軽量のスキャナー。三脚や専用台、測定アームなどに固定して使用するスキャナー。ロボットアームやドローン、車両などに搭載されるスキャナー。
特徴取り回しが良く、自動車のような大型物や、現場に据え付けられた設備など、動かせない対象物のスキャンに最適です。安定した環境で非常に高精度な測定が可能です。製造ラインでの自動検査(インライン測定)や、広大な土地・構造物の測量など、特定の目的に特化したシステムとして構築されます。
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業務用3Dスキャナーの活用

業務用3Dスキャナーは、もはや単なる「測定器」ではありません。その活用範囲はあらゆる業界に及び、「品質向上」「開発期間の短縮」「コスト削減」「新たな価値創造」を実現する、強力なビジネスツールとして導入が進んでいます。

主に製造業におけるツールとして注目されがちではありますが、ここでは製造業以外における具体的な業界別に、3Dスキャナーがどのように活用され、どのようなメリットを生み出しているのかを見ていきましょう。

【土木・建築・プラント】現場作業を安全かつ効率的に

広大な現場や複雑な構造物を持つこれらの業界では、作業の省人化と安全性向上が大きなテーマです。

・課題
広大な敷地の測量、複雑に入り組んだ配管設備の現状把握、施工後の出来形確認。

・活用
地上設置型レーザースキャナーで現場全体を短時間でスキャンし、高精度な点群データを取得。BIM/CIMデータと統合して活用。

・メリット
測量や検査にかかる時間と人員を大幅に削減。危険な場所での作業を減らし、安全性を向上させます。また、プラント全体を3Dデータ化して「デジタルツイン」を構築し、改修計画のシミュレーションや干渉チェックに役立てる動きも加速しています。

【文化財・エンターテインメント】価値の保存と新たな創造

形のないものや、二度と再現できないもののデータ保存の分野で活用されます。

・課題
仏像や遺跡などを非接触でスキャンし、「デジタルアーカイブ」として半永久的に保存。俳優や小道具をスキャンしてVFXやゲームの3Dモデルを制作。

・活用
貴重な文化遺産を後世に継承し、研究や修復に活用。コンテンツ制作においては、リアリティの向上と制作工数の削減を両立します。

・メリット
貴重な文化遺産を後世に継承し、研究や修復に活用。コンテンツ制作においては、リアリティの向上と制作工数の削減を両立します。

【医療・ヘルスケア】一人ひとりに最適なソリューションを

人体という複雑で個別性の高い対象に対し、最適な治療や製品の実現に貢献します。

・課題
患者一人ひとりの体にフィットする義肢や装具(オーソティクス)、インプラントの製作。歯科治療における歯型採取の負担。

・活用
ハンディスキャナーや口腔内スキャナーで患者の体を直接スキャン。そのデータをもとに、最適な形状の医療機器を設計し、3Dプリンターなどで製作。

・メリット
患者の身体的負担を軽減しつつ、フィット感と治療精度を向上させます。製作期間も短縮でき、QOL(生活の質)向上に大きく貢献します。

業務用3Dスキャナーの選び方を解説

多種多様な業務用3Dスキャナーの中から自社に最適な一台を選ぶには、いくつかの重要な観点から要求を整理することが不可欠です。以下の4つのステップで検討を進めることで、導入後のミスマッチを防ぎ、投資効果を最大化することができます。

測定対象(ワーク)から絞り込む -【何を】測るか?

まず、スキャンの主役である「対象物」の特性を明確にします。これにより、必要なスキャナーの基本的な性能が決まります。

  • ・サイズ:対象物のサイズによって、選ぶべきスキャナーの形態が大きく変わります。
  • ・要求精度・解像度:製品に求められる公差や、表面の微細な模様を再現する必要があるかを確認しましょう。
  • ・材質・色:対象物が光沢のある金属や、黒色の樹脂など特定の条件においてはそれ以外の材質と比べてスキャンが難しい素材です。そういった材質のスキャンを目的とした場案、搭載されている光源の選定が重要になります。

使用環境と運用方法から選ぶ -【どこで・どのように】使うか?

次に、スキャナーを「どのような環境」で「どうやって使うか」を具体的にイメージします。

  • ・測定場所:測定対象を測定室などの特定の場所に持ち込むことが可能なら、安定した精度が出せる据え置き型が適しています。持ち運べない、あるいは工場内や屋外で使いたい場合は、ハンディタイプが必須となります。
  • ・運用方法:測定は特定の担当者が行うのか、複数人か。誰でも簡単に使える操作性が求められるのか。将来的にロボットと組み合わせて自動検査を目指すのか。これらの運用イメージが、選ぶべき機種やシステム構成を左右します。

活用目的とソフトウェアで決める -【なぜ・どうやって】活用するか?

スキャナーは、取得したデータを活用して初めて価値を生みます。ハードウェアと同じくらいソフトウェアが重要です。

  • ・主な目的:スキャン後の3Dデータの活用方法を明確にしましょう。目的に合わせて適切なソフトウェアの導入が必要なケースが多いです。
  • ・システム連携:現在お使いのCAD/CAMソフトとスムーズにデータ連携できるか、対応ファイル形式などを必ず確認しましょう。

予算とサポート体制で最終決定する -【いくらで・誰と】進めるか?

最後に、現実的な導入計画を立てます。

  • ・予算:本体価格だけでなく、ソフトウェアのライセンス費用、年間保守費用、トレーニング費用まで含めたトータルコストで判断することが大切です。
  • ・サポート体制:業務用機器は、導入後のサポートが非常に重要です。操作トレーニング、技術的な問い合わせへの対応、万が一の故障時の修理体制など、信頼できる販売代理店をパートナーに選ぶことが、長期的に見て成功の鍵となります。

予算先行の検討になってしまうことも多いかとは思いますが、上記の手順を踏んで検討することで目的を見失わない効果的な機種検討が実現できます。

おすすめの業務用3Dスキャナー4つ紹介

これまで解説してきた選び方のポイントを踏まえ、いよいよ具体的なおすすめ機種をご紹介します。

ただし、繰り返しになりますが、「すべての人にとって完璧な一台」というものは存在しません。 最適なスキャナーは、貴社の測定対象、目的、使用環境、そして予算によって全く異なります。

ハンディタイプ:FreeScan Combo+

FreeScan Combo+は、「スピード」「精度」「安定性」という、現場で求められる3つの重要な要素を高いレベルで満たした、汎用性とコストパフォーマンスに優れたハンディスキャナーです。まさに「最初の一台」としても「多様なニーズに応える一台」としても、心強い選択肢となるでしょう。

固定式:OptimScan Q12

OptimScan Q12は、ハンディタイプのスキャナーとは対照的に、測定室や検査ラインに設置して使用する「固定式」のブルーライト3Dスキャナーです。その最大の強みは、「安定性」「高精度」「自動化」にあります。
先述のFreeScan Comboが「現場での柔軟な対応力」を強みとするなら、このOptimScan Q12は「検査工程の自動化と、揺るぎない測定精度の実現」を追求する企業にとって、生産性向上と品質保証レベルの向上を両立させる、強力なソリューションとなるでしょう。

トラッカータイプ:FreeScan Trak Nova

FreeScan Trak Novaは、ハンディスキャナー単体で測定するのではなく、スキャナーの位置をリアルタイムで追跡する「光学式トラッカー」と組み合わせて使用する、新たな3Dスキャンシステムです。多くの3Dスキャナーで必要とされるマーカーシールを不要とし、大型から小型な対象物まで自由にスキャン可能です。さらには光学式トラッカーそのものも超大型スキャン向けの3Dスキャナーとしての活用が可能で、1台3役であらゆるスキャンを可能とする非常に便利な機種です。

オールインワンタイプ:EinScan Libre

EinScan Libreは、これまでに紹介したレーザー方式のスキャナーとは一線を画す、完全ワイヤレスをコンセプトにした、非常にユニークなハンディ3Dスキャナーです。PC内蔵型の本体にはケーブルなどは一切不要でその名の通り“Libre(自由)”な操作性で、3Dスキャンの活用シーンを大きく広げます。本体のみを持ち運べば良い手軽さによる「自由度」により3Dデータの活用をより身近なものにし、新たなクリエイティブの可能性を切り拓く一台です。

よくある質問

最後に業務用3Dスキャナーに関するよくある質問をご紹介します。

業務用3Dスキャナーの価格は?

数十万円から数千万円と機種によって非常に幅広いです。

スキャンしたいものの大きさや精度によって、方式や光源などが異なるため幅広くなっています。

SHINING3Dはどのようなメーカーですか?

SHINING3Dは数多くある業務用スキャナーメーカーのなかでハンディスキャナーの開発に特に注力してきたメーカーです。20年以上の経験と実績から業界の信用が高いメーカーです。

業務用3Dスキャナーのデモはできますか?

全国無料デモを実施しています。ご要望に合わせてお客様先は出張訪問の上デモを実施させていただいております。ぜひお気軽にお問い合わせください!

まとめ

業務用3Dスキャナーは、ものづくりをはじめとしたさまざまな業界で、製品品質の向上、開発期間の短縮、そして新たな付加価値の創出に大きく貢献するツールです。

本コラムでは、3Dスキャナーの方式や形態の違いから、具体的な活用事例、導入時の選定ポイント、そしておすすめ機種までを幅広くご紹介しました。選定の際は、測定対象や使用環境、目的を明確にし、自社に最適な機種を選ぶことが成功の鍵となります。

導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。経験豊富なスタッフが、目的やご予算に合わせて最適なソリューションをご提案いたします。以下バナーから、おすすめの3Dスキャナー情報をチェックしていただけます。こちらも合わせてご覧ください。

3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説 -
3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説
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著者:日本3Dプリンター株式会社 技術部

さまざまな3Dデジタルソリューションを提案する日本3Dプリンター株式会社技術メンバーです。
3Dプリンター/3Dスキャナーのエキスパートとして、皆様に有益な情報を発信していきます。

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