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工業用3Dスキャナーを使った品質検査のメリット、おすすめ機種を紹介

製造現場において、部品の品質検査や寸法検査の工数削減は最大級の課題です。従来の手法では、複雑な自由曲面の測定や微細な欠陥の検出に限界を感じている方も多いのではないでしょうか。そこで注目されているのが「工業用3Dスキャナー」です。本コラムでは、メトロジー(計測)レベルの精度を持つスキャナーの導入メリットや、外観検査への応用、そして最新機種を例に目的別の最適な機種の選び方を解説します。

工業用の品質検査に利用可能な3Dスキャナーとは

工業用3Dスキャナーとは、対象物の形状を非接触でデジタルデータ化する測定機器の中でも、特に「メトロジー(Metrology:計測)」グレードと呼ばれる高い測定精度を持つものを指します。 一般的な3Dスキャナーとは異なり、製造現場で求められる事が多い数十ミクロン単位の精度を保証できる点が特徴です。取得したデータはCADデータと比較照合され、製品が公差内に収まっているかを確認する寸法検査や、設計通りの形状が再現できているかを判定する品質検査に不可欠なツールとなっています。

寸法検査・品質検査向けの3Dスキャナーを選ぶポイント

自社の品質検査工程に最適な1台を選ぶため、以下の視点を重視しましょう。

1.メトロジーグレードの精度と解像度 
厳密な寸法検査を行うには、カタログスペックだけでなく、国際的な規格に基づいた精度検証がなされているかを確認してください。

2.対象物の特性への対応 
測定対象のサイズはもちろん、黒色や光沢のある部品は測定が難しいため、それらに対応したレーザー光源を持つ工業用モデルが必要です。

3.運用上の取り回し
検査室での精密測定か、製造ライン横での抜き取り検査か。ケーブルの有無や、振動の影響を受けにくい機能は現場での運用効率を左右します。

3Dスキャナーによる検査のメリット

最大のメリットは、寸法検査と形状の外観検査を同時に効率化できる点です。 従来の点測定では見逃していた全体的な「反り」や「ヒケ」、「歪み」を、カラーマップで可視化できます。これにより、数値上の寸法だけでなく、製品全体の形状品質を一目で把握可能です。また、ハンドツールでは難しかったゴムなどの軟質部材も、非接触式の3Dスキャナーを用いることで正確に測定できます。メトロジーレベルのデータを活用することで、不具合解析の時間を大幅に短縮し、製造品質の底上げを実現します。

工業用 品質検査・寸法検査に向け3Dスキャナー3選

市場には多くのスキャナーが存在しますが、ここでは工業用として信頼性が高く、それぞれ「PCレス」「ワイヤレス」「トラッキング」という異なる強みを持つ最新の3機種をご紹介します。自社の課題に合わせて比較検討してください。

EinScan Libre

【PCレスで完結!現場を選ばないスタンドアロンモデル】
EinScan Libreは、本体に高性能な演算プロセッサとタッチスクリーンを内蔵した、画期的な「PCレス」スキャナーです。ケーブルの煩わしさや重いPCを持ち運ぶ必要がなく、現場に着いてすぐにスキャンを開始できます。 ブルーレーザーによる高精細モードも搭載しており、簡易的な寸法検査から、テクスチャ(色)情報を活かした外観検査まで幅広く対応可能です。取り回しが良いため、狭い場所や電源確保が難しい現場での機動的な検査業務に最適です。

FreeScan Omni

【メトロジー級の精度を完全ワイヤレスで実現】
FreeScan Omniは、寸法検査に求められる厳しい精度(0.02mm)を維持しながら、完全ワイヤレス化を実現したハイエンドモデルです。 最大の特徴は、軽量小型なボディと、マーカーなしでも高い容積精度を保証するVPG(ビデオフォトグラメトリー)技術の搭載です。製造ラインや大型定盤の上など、場所を選ばずにメトロジー品質のデータを取得可能。複数のスキャンモードを備え、微細な部品から中型製品まで、あらゆる品質検査のニーズに応えます。

FreeScan Trak Nova

【マーカー貼付不要!大型・複雑形状に強いトラッキングシステム】
FreeScan Trak Novaは、専用のトラッカーとスキャナーを組み合わせた光学式トラッキングシステムです。 スキャナーの自己位置をトラッカーが認識するため、対象物にマーカーを貼る必要がありません。マーカー貼付が禁止されている製品や、準備時間を極限まで減らしたい大型ワークの寸法検査に威力を発揮します。また、トラッカー自体を移動させながら計測できる動的トラッキングにより、死角の多い複雑な構造物でもスムーズな測定が可能です。

工業用 品質検査・寸法検査に向けのソフトウェア

スキャナーの性能を最大限に引き出すには、専用の検査ソフトウェアが不可欠です。Geomagic Control X」や「PolyWorks」などは、取得したスキャンデータと設計CADデータを自動で位置合わせし、寸法検査の結果を瞬時にレポート化します。 また、外観検査の観点からも、表面の偏差をカラー表示することで直感的な合否判定をサポートします。品質検査の自動化・効率化は、ハードとソフトの組み合わせで決まります。

日本3Dプリンター株式会社について

日本3Dプリンター株式会社は、3Dプリンティングと3Dスキャニングの総合ソリューションカンパニーです。 2013年の設立以来、高性能な3Dプリンター、そして建築現場での効率化と品質向上に貢献するSHINING 3D社の高精度な3Dスキャナーを提供しています。スキャナーのラインナップは、検査・測定、リバースエンジニアリングなど、幅広い製品を取り扱っております。 単なる製品販売に留まらず、お客様の課題解決に最適な機器選定、3Dスキャニング・3Dプリンティングの各工程における技術支援やコンサルティング、そして技術が定着するまでの手厚いアフターサポートまで、3Dデジタル技術の全方位をフォロー。製造業、研究開発、医療など幅広い分野で、お客様のイノベーションを加速させるソリューションを提供し、日本のものづくりを支援しています。3Dスキャナー・3Dプリンターの導入、活用でお困りのことがあれば、ぜひご相談ください。

まとめ

工業用3Dスキャナーの導入は、単なる測定のデジタル化にとどまらず、品質検査プロセスの抜本的な改革をもたらします。メトロジー級のデータを活用することで、正確な寸法検査と、形状全体の外観検査を両立し、不具合の早期発見と対策が可能になります。まずは自社の製品特性と運用フローに合う1台を選定することから始めてみませんか。以下バナーから、おすすめの3Dスキャナー情報をチェックしていただけます。こちらも合わせてご覧ください。

3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説 -
3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説

>>3Dスキャナーに関するよくある質問<<

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著者:日本3Dプリンター株式会社 技術部

さまざまな3Dデジタルソリューションを提案する日本3Dプリンター株式会社技術メンバーです。
3Dプリンター/3Dスキャナーのエキスパートとして、皆様に有益な情報を発信していきます。

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