導入事例

デジタルファブリケーション研究分野で高精度スキャナEinscanの活用事例


事例紹介

今回は、弊社⽇本3Dプリンター株式会社のお客様の中から、東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 五十嵐研究室 中島一崇様(特任助教)の導⼊事例をご紹介させていただきたいと思います。
中島様は、個人で他の3Dスキャナを利用されたことがあり、3Dスキャナ関係の知識をお持ちでございました。スキャンの際の手ブレのような誤差を小さくするため、及びスキャンの際の手間を削減するためという観点から、ターンテーブルでのスキャンが可能かつ、微細な形状をスキャンすることのできる機種ということで、様々な3Dスキャナを検討され、結果として低価格かつ、高品質な3DスキャナEinScan-Pro 2Xを導入していただきました。(現在はEinScan Pro HDをご案内しています。)


導入目的

デジタルファブリケーションの分野においては、大きく、ふたつの目的で3Dスキャンが用いられます。
(1)新たな形状処理技術を考案するためのデータとして実社会にある形状を解析するため。
(2)最終的に3Dプリント等の技術で造形した形状が意図通りに造形できているかを確認するため。
 特に、近年は3Dプリント技術の飛躍的な発展に伴い、プリントすることのできるディテールが細かくなってきています。そのような造形の微細化もあり、微細な形状をスキャンすることのできるスキャナへの必要性が高まったため、今回EinScan-Pro 2Xを導入していただくこととなりました。


導入理由

中島様は、個人で他の3Dスキャナを利用されたことがあり、3Dスキャナ関係の知識をお持ちでございました。スキャンの際の手ブレのような誤差を小さくするため、及びスキャンの際の手間を削減するためという観点から、ターンテーブルでのスキャンが可能かつ、微細な形状をスキャンすることのできる機種ということで、様々な3Dスキャナを検討され、結果として低価格かつ、高品質な3DスキャナEinScan-Pro 2Xを導入していただきました。


導入機種とオプション

EinScan-Pro 2X
ターンテーブル+三脚
カラーモジュール


導入後、解決された課題

中島様は、三次元形状を型で複製するための分割を行う研究を行っています。この研究は、すでに発表済みの(CORECAVITY: INTERACTIVE SHELL DECOMPOSITION FOR FABRICATION WITH TWO-PIECE RIGID MOLDS)の発展となっています。
この研究は、三次元形状を入力として、その形状を、型で複製できるような殻形状に分割する技術の提案となっています。研究では、対象形状を中空にしてしまうため、一般的な分割とは言えないという問題点がありました(フィギュアやガレージキットだと、各パーツは中空ではなく、レジン等の樹脂の塊として造形されています)。そこで現在、入力として受け取った三次元形状をフィギュアやガレージキットのように中身の詰まったパーツ(型で複製できるパーツ)に分割するという研究を行っています。
この研究では、「実際に人が手作業でどのような分割を行うのか」というデータと、「分割前の形状を研究で作成しているソフトウェアに入力した結果」を見比べつつ研究をすすめるということになります。手作業での分割に関しては、フィギュアやガレージキットの組立前の各パーツへの分割の様子を観察することで確認することができます。
一方、分割前の形状データ(研究で作成しているソフトウェアへの入力データ)に関しては、アナログ原型だった場合はデジタルデータとして存在しません。また、デジタル造形の場合でも、造形を行った人の手元にしかデータが存在せず、研究用途で利用することがほとんど不可能という課題がありました。
そこで、フィギュアやガレージキットをスキャンし、リバースエンジニアリングの要領で分割前のデータを確保して研究を推進しています。形状のディテールが分割へ与える影響は非常に大きいため、一般的なスキャナだと精度の制約でこのアプローチは非常に難しく、EinScanを導入したことではじめてこの研究が実現可能になりました。

画像1:スキャン中の様子と3Dスキャンデータ
スキャン中の様子と3Dスキャンデータ

現在も研究を続けられておりますが、リバースエンジニアリングでフィギュア・ガレージキットの形状をスキャンして技術開発を行い、今後研究が進んで研究成果の技術を評価する段階でも、意図通りの形状を型で複製できたかという評価のためにEinScanでの3Dスキャンの活用が期待されています。
中島様の事例では、高精細なスキャンを利用することができるようになったため、研究の進め方が大きく変わりました。
EinScanでスキャンした高精細なスキャンデータを利用することで、研究を進めるにあたって現実世界の形状データを活用できるため、より実用性に富んだ形状処理技術を提案することができると確信している」と中島様からお言葉を頂きました。

画像2:スキャンデータと実物
スキャンデータと実物

Einscanへの評価と今後の期待

・想像していたよりもずっと精度の高いスキャン
・透明や反射するマテリアルのスキャンの際には、サーフェイサーを吹く必要があるなどは手間になる。
・精度の高いEinScanを使用して、従来できなかった研究を行え、3Dプリント業界を発展させることに寄与できると考えられる。