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3Dスキャナーの使い方は?【初心者向け】手順や使用時のポイント、注意点を紹介

現実世界の物体をデジタルデータとして捉えることができる3Dスキャナーは、初心者でも比較的容易に扱えるツールへと進化しています。本コラムでは、3Dスキャナーを用いた3Dデータ取得の基本的な手順から、より良い結果を得るための使用時のポイント、そして注意すべき点までを丁寧に解説します。非接触での高精度な計測を可能にする3Dスキャナーの世界への第一歩を踏み出してみましょう。

3Dスキャナーでできること

3Dスキャナーの仕組みとして、スキャナー本体が発した光(赤外線やLEDなど)が対象物に反射した様子を読み取り、3次元形状を認識していきます。光の反射を読み取るので、対象物に対して非接触でデータを取得できます。この技術を活用すると、壊れてしまった部品をデータ復元したり、貴重な文化財をデータ保存するような場面で活躍します。その他にも多岐にわたる目的で3Dスキャナーが活用されています。具体的な使い方と併せて、一体どんなことができるのか深掘りしていきましょう。

3Dスキャナーの具体的な使い方

3Dスキャナーの実際の使い方をいくつかの工程に分けて説明します。先端技術としてのイメージが先行してしまい、一見複雑に思える3Dスキャナーも、使い方を把握してしまえば誰でも容易に使える機械です。

1.準備が必要な物を用意

まずは3Dスキャンのために必要なものを一式紹介します。

  • ・3Dスキャナー本体
  • ・PC
  • ・接続ケーブル
  • ・マーカーシール
  • ・ソフトウェア
  • ・キャリブレーションボード
  • ・スキャン対象物

以上です。それぞれ用意出来たら次に進みます。

2.3DスキャナーとPCを接続

3Dスキャナーはあくまで3次元座標を取得するための機械です。そのため取得したデータの後処理や保存にはPCが別途必要になります。3Dスキャナー専用のソフトウェアを起動し、PCと3Dスキャナーを接続します。問題なく接続できているとソフトウェアが操作可能になります。機種によってはソフトウェアの起動時にドングルと呼ばれるライセンスキーが必要な場合があります。お使いの機種をよく確認し、ドングルが必要な場合には失くさないよう気を付けてください。

3.キャリブレーションを実施する (所要時間-5分)

精度よく3Dスキャナーを活用するためには、キャリブレーションと呼ばれる校正作業が必要不可欠です。ソフトウェアの案内に従いキャリブレーションを行います。その際には専用のキャリブレーションボードが必要です。同梱されたボードはお使いの機種専用のものです。傷つけたり過度に汚れてしまうと代替の利かないものなので取り扱いに注意してください。またキャリブレーションを怠ると、データの精度が出なくなったり、最悪の場合スキャンそのものができなくなるケースもあります。稼働時にはキャリブレーションをしっかり行うように心がけてください。

4.対象物をスキャン (所要時間-10分)

キャリブレーションさえ済めばあとはスキャンを行うだけです。ソフトウェアの案内に従い3Dスキャンを行います。読み取れた部分から徐々にデータが作成されていきます。スキャンの方法によっては、事前にマーカーシールを対象物に貼っておくと非常に高い精度でスキャン可能です。

5.取得データを補正 (所要時間-5分)

取得したデータを基にソフトウェア上で補正をかけることが可能です。データの表面をより滑らかに仕上げたり、解像度を調整することができます。3Dスキャナーの仕様上どうしてもデータ取得ができない部分が発生してしまいますが、そのように穴が開いた部分の修正なども自動で編集可能です。

6.完成 (所要時間-5分)

完成したデータは画面上でプレビューすることができます。データの仕上がりに問題がなければエクスポートしましょう。利用用途に合わせてエクスポート時の拡張子を変更して活用してください。多くの場合stlという拡張子が使用されます。

1つのデータを作成するまでに合計所要時間25分ほどで完成しました。もちろん2個目以降のデータ作成には準備は含まれないためもっとスムーズに作業可能です。なおスキャンする対象物の大きさによってはさらに時間がかかる場合もあります。

3Dスキャナーを上手く使用するためのコツ

3Dスキャナーは誰が使用しても同様のスキャン結果が得られるため、非常に簡単に使用できる機械です。しかしスキャンをする際の条件はとても重要です。以下のポイントを押さえると、より精度の高いデータ取得が可能です。

対象物との距離と露光量を意識する

スキャナー本体と対象物との距離は、近すぎても遠すぎてもちゃんとスキャンすることはできません。ソフトウェア上で案内されるので適切な距離を保ってスキャンしましょう。またスキャナーが出す光の強さや読み取る光の量(露光量)も対象物によって調整するとより綺麗にデータが取得できます。

環境光を確認する

対象物からの反射光が乱れてしまうほど強い光が近くにあると、取得されたデータも乱れてしまいます。直射日光が入る窓際や、照明の近くではスキャンを行わず、なるべく暗い環境で使用するようにしましょう。

マーカーシールを適切に使用する

マーカーシールを使用すると精度の高いデータを取得できますが、マーカーシールの配置にコツがあります。常にスキャナーが複数点のマーカーを読み取る必要があるため、少なすぎるとスキャンを正しく行えません。かといって多すぎても、機械が迷う原因になります。おおよそ4~6点ほど常に見えているくらいがちょうど良いです。また規則性の無いようにランダムに貼り付けましょう。

3Dスキャナーの使用時の注意点

3Dスキャナーは光の反射を読み取る仕様上、適切に光を反射する材質のものでなければスキャンすることができません。

  • ・透明なもの
  • ・黒色のもの
  • ・鏡のように光沢の強いもの

上記のような材質は、そのままではスキャンすることができません。そういった場合には必要に応じて専用のスプレーを塗布することで表面に一時的に薄膜を形成するなどの対応策があります。

3Dスキャナーの種類と特徴

3Dスキャナーは構造の違いで大きく分けてハンディ型と据え置き型の2種類に分類されます。それぞれ長所と短所があり、目的によって機種選定が必要です。どのような違いがあるのか確認していきましょう。

1.ハンディ型

ハンディ型はその名の通り、手持ちで使用するタイプの3Dスキャナーで機器本体も軽く携帯性に優れています。中には完全ワイヤレスで電源内蔵型の機種もあり、様々な対象物を撮ることができます。一方で微細な形状に対しては精度が不十分な傾向にあり、どちらかというと大きめの対象物をスキャンすることに長けています。

2.据え置き型

据え置き型は、どこか一定の場所に固定して使用されます。環境光や温度が一定な状態で使用できるので、より繊細な形状を綺麗にスキャンすることに長けています。固定する必要があるためスキャン可能なサイズに上限があり、大きいものでも数十㎝程度です。装飾品やフィギュアなどの細かく複雑な形状を、精細にスキャンしたい場合に活躍します。

よくある質問

多くのお客様に3Dスキャナーをご提案してきた実績から、いただくことの多い質問をピックアップしてご紹介します。実際に導入を検討される方はいったいどのような不安点をお持ちなのか確認しましょう。

3Dスキャナー活用シーンは?

活用シーンは多岐にわたりますが、その中でも多い用途は下記のとおりです。

  • ・文化財のデジタル化による保管
  • ・リバースエンジニアリング
  • ・製品検査を含む測定

などです。それぞれ従来の方法があったものの、コストや所要時間の点で問題点が多く見られました。3Dスキャナーを活用するとそれぞれの問題点が劇的に改善されます。

3Dスキャナーをお試し操作できますか?

貸し出しによる3Dスキャナーのお試し操作は、弊社では行っておりません。慣れれば非常に簡単な機械ではありますが、どうしても使用方法の説明過程で専門的な用語でしか説明できない部分があります。本コラムにも、たびたび専門用語が出ていたかと思います。そのためお試し操作をしたい場合は、弊社社員がお客様の元へお伺いのうえデモンストレーションの一環でご使用いただく機会を設けております。

3Dスキャナーを導入するなら

3Dスキャナーの活用は始めてしまえば容易なものの、その一歩目の難易度が高いものです。お客様それぞれの目的に合った機材を探したいのであれば、数多くのラインナップがあるSHINING3D社製スキャナーがおすすめです。下記お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。豊富な知見でお客様に最適なソリューションをご案内いたします。以下バナーから、おすすめの3Dスキャナー情報をチェックしていただけます。こちらも合わせてご覧ください。

3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説 -
3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説

まとめ

いかがでしたでしょうか。本コラムを読んで3Dスキャナーへの理解は深まりましたでしょうか。残念ながら実際の3Dスキャナーの使用感は、文字を読んでも伝わらない部分が多いです。おそらく今想像されているよりも、実際使ってみると簡単だと思います。誰でも簡単に3Dデータを取得できる、そんな新たな製造業の在り方について興味を持っていただけましたら、お問い合わせのうえ、実機をご確認いただけますと幸いです。

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著者:日本3Dプリンター株式会社 技術部

さまざまな3Dデジタルソリューションを提案する日本3Dプリンター株式会社技術メンバーです。
3Dプリンター/3Dスキャナーのエキスパートとして、皆様に有益な情報を発信していきます。

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