コラム
3Dスキャナーのサービスとは?活用場面や費用を左右する項目を紹介

近年、製造業の品質検査から文化財のデジタルアーカイブまで、あらゆる分野で「3Dスキャナー」の活用が広がっています。しかし、「自社で高価な機材を導入するのは難しい」「どんな場面で有効なのか、費用はどれくらいかかるのか見当がつかない」といった理由で、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
実は、専門の事業者が計測からデータ化までを代行する「3Dスキャニングサービス」を利用すれば、必要な時に必要な分だけ、最先端の技術を活用することが可能です。
本コラムでは、3Dスキャナーサービスの基本的な内容から、具体的な業界別の活用場面、そして依頼する際に費用を左右する重要なポイントまでを解説します。このコラムを読めば、自社の課題解決に向けた3Dスキャナー活用の具体的なイメージが掴めるはずです。
目次
3Dスキャナーのサービスとは?

専門の技術者が高精度な3Dスキャナーを用いて、対象物の精密な3Dデジタルデータを取得・作成する専門サービスの総称です。自社で高価な機材や専門知識を持つ人材を揃えることなく、最新の3D計測技術を活用できるのが大きな特長です。
3Dスキャナーサービスは、単に「形をスキャンする」だけでなく、その後の設計・開発や品質管理といった業務に繋がるデータを提供する、総合的なソリューションと言えます。その内容を詳しく見ていきましょう。
サービス①3Dスキャンの代行サービス
3Dスキャナーで取得したままのデータ(「点群データ」や「メッシュデータ」)を納品するシンプルなサービスです。主に現状の形状確認やデジタルアーカイブなどに活用されます。
さらにスキャンしたデータを基に寸法の測定までをセットに受託するケースも多く見られます。3Dデータを用いた測定では元の設計データと比較したカラーマップを確認したり、既存の測定器では計測が困難な箇所も容易に測定できます。
また多くの3Dスキャナーはスキャンする対象に合わせて特化したものが多いため、一つのスキャナーで最適な測定をこなすことは困難です。そのため仮に3Dスキャナーをすでに持っている方でも、専門業者による測定までをセットにしたサービスを受けると費用対効果を高く得られます。
サービス②リバースエンジニアリングサービス
3Dスキャンしたデータを元に、設計図を作成するリバースエンジニアリングもご依頼可能です。測定の場合と同様の意、既存の測定器だけでは難しい3次曲面や入り組んだ形状のデータ取得は、3Dスキャンデータを用いたリバースエンジニアリングが非常に適していると言えます。
3Dスキャンサービスはこのような企業におすすめ

3Dスキャンサービスを使うよりも機材を購入して、自分自身でスキャンを行う方が費用対効果が高い場合もあります。3Dスキャンサービスを依頼すべきケースはどういった状況なのか確認していきましょう。
利用頻度が少ないケース
性能の良い3Dスキャナーは一律して高額なためサービスを利用した方が費用対効果を高く得られます。
また利用頻度の低い機材は精度保証を行うことも困難になるため、日々適切なメンテナンスを行っている専門業者に依頼することで信頼のおけるデータを容易に取得することができます。
スキャナーを持っているが、大きさが対応していないケース
多くの3Dスキャナーはスキャンする対象に合わせて特化したものが多いため、一つのスキャナーで最適な測定をこなすことは困難です。手持ちの3Dスキャナーが得意としていない大きさのものをスキャンする場合、工数が多くかかったり、仮にデータ取得できたとしても十分な精度が出ていないなどの問題が発生する可能性が高いです。そういった場合は機種のレパートリーがある業者に依頼することで適切な機種選定から案内し、圧倒的に工数を減らすことが可能です。そのため仮に3Dスキャナーをすでに持っている方でも、専門業者による測定までをセットにしたサービスを受けると費用対効果を高く得られます。
スキャナーの購入検討をしているケース
多くの3Dスキャナーの販売店はデモを実施している場合が多いですが、実業務に使えるかどうかを判断する際には実務に則った内容のスキャンを実際に行ってみることもおすすめです。作業時間や運用時のコストなど、通常のデモンストレーションとは違った観点で機材を評価することができます。
3Dスキャンサービスの費用を左右する項目

ここまで3Dスキャンサービスの内容について確認していきました。サービスを使うメリットやどういった用途で使うべきかはご理解いただけたかと思います。ただ実際にサービスを利用するとなると気になってくるのはその価格かと思います。3Dスキャンサービスはどういった要素で価格が決まるのでしょうか。
使用機材
ご要望の内容をヒアリングした後、使用するべき機材の選定が必要になります。使用機材によっては費用が変わる場合があります。多くの場合本体占有費にあたるため機材の本体価格に比例してサービス料も変わっていきます。
要求精度・解像度
最終的なデータに求める精度次第で使用機材やデータ処理の内容が変わるため費用が変わる点になります。また前項にもかかわる要素で、高い精度を要求される場合その分高品質な機材を利用する必要があるため価格が高くなる傾向にあります。
対象物の素材
反射の強い材質や透明な材質など一部3Dスキャンそのものが困難な材質もあり、内容に応じて特化した機種の選定が必要な場合もあります。そのため要求精度などの他条件との組み合わせ次第で実現が困難になる場合もあります。
対象物のサイズ
スキャン対象物の大きさや個数によって費用が変わってきます。スキャンしたい点数が多い場合や、サイズが大きな場合は工数が増えるため費用が高くなります。
またご訪問を伴う実地でのスキャンの場合、別途交通費等が発生する場合もございます。
データ処理
3Dスキャン自体以外のサービスを追加される場合、費用も追加されます。軽微な編集であれば大幅に価格が変わることはございませんが、リバースエンジニアリングや測定などを追加するとスキャン自体よりもデータ処理の方が高価になることもあります。
3Dスキャンサービスを利用する際の手順

まずはスキャン対象物と、どういった内容でスキャンを依頼したいのか決めてからご相談いただくととてもスムーズです。スキャンの内容について決めかねている場合はその段階でご相談いただければ内容選定からお手伝いさせていただきます。内容が決まったらお見積りを作成させていただき、価格や注意事項に問題がなければ実際にスキャンをさせていただきます。通常は対象物をお送りいただきスキャンを行いますが、大きいものや事情により動かせないものなどは出張スキャンも行っております。
よくある質問
3Dスキャンサービスをご依頼いただく過程でよくいただく質問についてご紹介します。
個人でも利用可能?
個人の方でも利用可能です。初めてのご利用で不安な方もご利用前に詳しく説明させていただきますので安心してご利用いただけるかと思います。
測定できるサイズはどれくらい?
機種によって異なりますが、小さいものなら10㎜程度から大きいものはm単位まで対応可能です。しかし大きさによって取得可能な精度にも制限がある事には注意が必要です。精度高く取得可能なサイズは手のひら大から1m以下程度に考えておくと最適です。
精度・解像度とは?
3Dスキャンに強くかかわる要素で、よく混同されてしまうのが精度と解像度です。
精度はその機械がどれくらい正しく点群を取得できるかを表した数値ととらえるとわかりやすいです。それに対して解像度はどれだけ細かなディティールを再現できるのかという数値です。仮に解像度が高い状態でスキャンを行っても精度が低ければ正しい形状は再現できません。逆に精度が高くても解像度が低い場合は細かな模様や微細な形状は再現できません。
つまりは精度が正しさ、解像度が細かさと言えます。
3Dスキャンをする際に必要なものは?
基本的にはスキャンを行いたい対象物のみご用意いただければ問題ございません。測定なども併せてご依頼いただく場合は状況に応じて正しい測定環境が必要な場合もございますが、事前のヒアリングの際に専門のスタッフが詳しくご説明させていただきますのでご安心ください。
まとめ

3Dスキャナーの活用は、製造・開発現場の効率化や品質向上を実現する強力な手段ですが、機材導入や専門知識の習得には一定のハードルがあります。
そのような中で、3Dスキャニングサービスは「必要なときだけ最適な機材と技術を利用できる」手軽さとコストパフォーマンスの高さが魅力です。
本コラムでは、サービスの基本的な内容から具体的な活用場面、費用を左右する要素、依頼の流れ、よくある質問までを網羅的にご紹介しました。導入に不安を感じている方も、まずは簡単なご相談から始めてみることで、最適なスキャン方法や費用感が明確になるはずです。
3Dスキャナーの活用を通じて、自社の製品品質や開発スピードをさらに高める一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。以下バナーから、おすすめの3Dスキャナー情報をチェックしていただけます。こちらも合わせてご覧ください。
