コラム

iPhoneのLiDARスキャナーで何ができる?対応機種や使い方などを解説

光の反射でモノを測定するLiDARスキャナーは、スマートフォンにも搭載されています。
「iPhoneで素早く簡単に3Dスキャンができる機能を使ってみたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、LiDARスキャナーとは何か、搭載されているiPhoneの機種や使い方を確認しながら、LiDARスキャナーでできることや不得意なことについて解説します。

LiDARスキャナーとは

LiDARとは「Light Detection And Ranging」の略称で、レーザー光の反射を利用して地形やモノなどの対象物との距離を測定する技術です。

たとえば、自動車の自動運転にLiDARを利用すれば、障害物や人を検知できます。
この技術はモノの形や大きさの計測もできるため、LiDARスキャナーとして3Dスキャンにも活用されています。

LiDARスキャナーは近年のiPhoneにも搭載されている機種があり、3Dスキャナーとして活用できるものがあります。

LiDARスキャナーが搭載されているiPhoneの機種

Apple社が提供しているスマートフォンのiPhoneには、LiDARスキャナーが搭載されている機種があります。
LiDARスキャナーが採用されたのは、iPhone 12 Pro以降で、以下の機種に搭載されています。

◆iPhone 12 Pro
◆iPhone 12 Pro Max
◆iPhone 13 Pro
◆iPhone 13 Pro Max
◆iPhone 14 Pro
◆iPhone 14 Pro Max
◆iPhone 15 Pro
◆iPhone 15 Pro Max
◆11インチiPad Pro(第2世代以降)
◆12.9インチiPad Pro(第4世代以降)

参考)Apple公式サイト

※2023年9月執筆時点

iPhoneやiPadでLiDARスキャナーを利用する場合は、上記の機種を購入しましょう。
iPhoneのLiDARスキャナーは、筐体の背面にある3つのカメラの右下に位置しています。
また、iPad Proは、背面にある2つのカメラの右側中央に搭載 されています。

iPhoneのLiDARスキャナーでできること

iPhoneに搭載されているLiDARスキャナーを使うにはアプリが必要です。
アプリには、最初からインストールされているApple純正の「計測」 や、サードパーティー製のものなど、さまざまなアプリが提供されています。

計測

「計測」アプリは、iPhoneをメジャー代わりにしてモノの寸法や人の身長を測定できます。
また、長方形の物体は、縦・横・高さといった寸法が自動的に測定されるため、iPhoneの画面に対象物を映すだけで大きさが分かります。

3Dスキャン

サードパーティー製のアプリを使えば、3Dスキャナーとしても利用できます。
たとえば、「Polycam – LiDAR 3D スキャナー 」アプリは、iPhoneのLiDARセンサーを利用して3Dスキャンを行えます。
「STL」や「OBJ」などのファイル形式でデータを出力できるため、3Dプリンター用のデータとして使うことも可能です。
ファイル形式や3Dプリンター用のデータについては【「3Dプリンター データ 作り方」の記事リンク 】もあわせてご覧ください。
iPhoneに搭載されているLiDARスキャナーは、専用のアプリを使用すれば素早く簡単に3Dスキャナーとして活用できます。

iPhoneのLiDARスキャナーの使い方

iPhoneのLiDARスキャナーはアプリを介して使用します。たとえば、純正アプリの「計測」アプリでモノを計測する場合は以下のような手順です。

【身長を測定する 】
1.iPhoneの「計測」アプリを起動する
2.画面内に人物全体を映す
3.自動的に測定が始まり、結果が表示される

【四角形のモノの寸法を計測する 】
1.iPhoneの「計測」アプリを起動する
2.寸法を測りたいモノにカメラを向ける
3.モノ全体が画面に映るように調整する
4.自動的に測定が開始され、結果が表示される
測定結果は、写真を撮るなどして保存できます。また、四角形以外のモノは手動で寸法を測定することが可能です。

【人物や銅像などの形状を3Dデータとして取り込む】
iPhoneのLiDARスキャナーでスキャンした人物や銅像などの形状は、サードパーティー製のアプリを使って3Dデータとして取り込むことも可能です。
1.サードパーティー製アプリ「Polycam LiDAR 3D スキャナー」などを起動する
2.人物や銅像をiPhoneのカメラに写し、3Dスキャンを行う
3.スキャンしたデータをテクスチャ付きのモデルなどに処理する
4.3Dモデルが完成したら、3Dデータをエクスポートする

利用するアプリによって操作方法は異なりますが、3Dデータとしてエクスポートできるアプリを使えば、モノの形状を3Dデータとして取り込むことが可能です。

iPhoneのLiDARスキャナーが不得意なこと

iPhoneのLiDARスキャナーは手軽にスキャンができます。
しかし、複雑な形状のモノのスキャンは不得意です。

透明や半透明なモノのスキャン

透明なモノや半透明なモノは、iPhoneのLiDARスキャナーではスキャンしにくい傾向にあります。
ガラスやプラスチックなどは、レーザー光の反射を測定しにくく正確にスキャンできないためです。

たとえば、窓ガラスやガラスのコップ、透明度の高いプラスチック製のタッパーなどは、iPhoneのLiDARスキャナーで正確にスキャンすることが難しいでしょう。

光沢があるもののスキャン

光沢があるモノも、iPhoneのLiDARスキャナーでのスキャンには不向きです。
表面に光沢があると、レーザー光が正確に反射してくれません。
たとえば、水面や鏡、磨かれた金属などはスキャンに向いていないといえます。

5mよりも離れた範囲にあるモノのスキャン

iPhoneのLiDARスキャナーで測定できるのは5m程度です。
5mよりも離れた場所にあるものは測定できません。
スキャンするためには、対象物に近づく必要があります。
たとえば、広い範囲をスキャンする場合は、スキャン範囲を5m以内に分けて計測する必要があるため、手間がかかります。

精度や画質の高いスキャン

iPhoneによる3Dスキャンは、搭載されているカメラに依存します。
そのため、高精度や高画質なスキャンが得意ではありません。
iPhoneのLiDARスキャナーによる3Dスキャンは手軽に使えますが、スキャン処理のすべてをiPhoneで行うため、精度には限界があります。
精度の高い3Dスキャンをするためには、3Dスキャンの専用機器を利用しましょう。

iPhoneのLiDARスキャナーと3Dスキャナーの違い

iPhoneに搭載されているLiDARスキャナーとアプリを活用すれば、3Dスキャンを手軽に行えます。
しかし、精度の面では専用の3Dスキャン機器には劣るため、iPhoneがあれば完結するというわけではありません。

たとえば、凹凸のある複雑な形状の模型をiPhoneでスキャンした場合、3Dデータの精度が低いため、正確な形状を把握することは困難です。

しかし、3Dスキャン専用の機器、たとえばハンディ3Dスキャナーでスキャンすれば、複雑な形状の模型を高い精度でスキャンできるため、正確な3Dスキャンデータが取得できます。

高精度な3Dスキャンデータが求められるシーンでは、やはり高精度な測定が可能な3Dスキャナーを使うべきです。

iPhoneのLiDARスキャナーは手軽で簡単に使える!

LiDARスキャナーを搭載したiPhoneを使えば、手軽に3Dスキャンが行えます。
Apple純正アプリやサードパーティー製のアプリを利用することで、簡単な形状のモノはすぐに3Dスキャンが可能です。
また、3Dプリンターに利用できるファイル形式でデータ出力できるアプリもあります。
ただし、複雑な形状のモノや、高い精度の3Dスキャンが必要な場合は、専用の3Dスキャナーを利用しましょう。

弊社では、高精度・高精細な3Dスキャンが可能な「EinScan H2」などの製品を提供しておりますので、こちらもあわせてご覧ください。
また、製品に関するサポートなどについてはこちらからお問い合わせください。

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