コラム
3Dレーザースキャナーを使用して測量するメリットや種類別の価格を紹介

新たな測量技術として注目を集める3Dレーザースキャナー測量は、対象物にレーザー光を照射し、その反射光から三次元座標を取得する手法です。まるで目の前の景色をそのまま映すように高い精度で対象物の形状をデータ化できるのが大きな特徴です。
この3Dレーザースキャナー測量を導入することで、従来の測量方法にはなかった多くのメリットが得られます。この記事では、3Dレーザースキャナー測量の具体的なメリットを詳しく解説するとともに、様々な種類の3Dスキャナーについてもご紹介します。3Dレーザースキャナー測量がどのように測量の現場に変革をもたらすのか、その可能性を探っていきましょう。
目次
3Dレーザースキャナーを使用して測量する3つのメリット

3Dレーザースキャナーを活用すると、大きく分けて以下のメリットがあると考えられます。
- ・高い安全性
- ・作業時間の短縮
- ・多岐にわたるデータ取得
以上の3つを、それぞれを細かく見ていきましょう。
安全性が高い
3Dレーザースキャナー測量の大きなメリットの一つは、対象物に直接触れることなく計測できることによる現場の安全性の向上です。従来の測量方法では、測量者が直接現場に立ち入り、機器を設置して計測する必要がありましたが、危険な場所や立ち入りが困難な場所では安全確保が大きな課題です。
3Dレーザースキャナーを使用すれば、人の立ち入りが困難な危険箇所、例えば災害現場の土砂崩れ箇所、鉄道軌道敷、橋梁などを離れた場所から安全に計測することが可能です。これにより、測量者のリスクを大幅に低減できます。作業の安全性が高まることで、安全対策にかかる費用を抑え、コスト削減も期待できます。危険な場所への立ち入りを最小限にすることで、仮設足場の設置や安全帯の使用といった対策が軽減される可能性が見込めます。
作業時間を短縮可能
3Dレーザースキャナーは、従来の測量方法に比べて作業時間を大幅に短縮できます。その主な理由は、レーザー光による高速スキャニング能力にあります。同時に大量の点を取得可能なので機種の性能にも依存しますが、小さい領域であればわずか数分で点群データを取得することができます。
また3D測量を導入すると、従来の測量では複数で作業する必要があった工程でも少人数で対応できるようになり、工程の省人化や作業効率の向上が期待できます。さらに機械の使用方法を把握すれば、個人の技術に依存せず誰が使用しても同等のデータ取得が可能で、現場で起こりがちな属人化を回避できます。
断面やボリュームデータを取得可能
現場を丸ごと点群データとして取得することができるため、従来の測量方法では難しかった多様なデータ活用が可能になります。
取得したデータから、縦・横に限らず、あらゆる角度の断面データを好きなだけ取得可能です。従来の測量のように特定の断面のみを計測するのではなく、データ取得後に必要に応じて様々な断面を解析できるため、大きな利点と言えます。
また処分場の埋立量や土量の計算など、ボリュームデータを取得するのにも非常に適しています。採石場のように草木が少ない場所では、地表面のデータを効率的に観測でき、取得した点群データには高さの情報も含まれているため、等高線図の作成も行うことができます。
3Dレーザースキャナーの価格相場を種類別に紹介
3Dレーザースキャナーといっても、構造等の違いでいくつかの種類に分けられます。それぞれ得意不得意も異なり価格もそれぞれです。それぞれの特徴を知り、目的に合わせて適切な機種選定を行う必要があります。
ハンディタイプ
ハンディタイプの3Dレーザースキャナーは、軽量かつコンパクトで持ち運びやすいことが特徴です。移動を伴う大型対象物を計測する際や、狭い場所での使用に適しています。屋外利用に適した機種もあり、多くの場面で活用できます。価格相場は10万~500万円と幅広く、光源の種類や撮影可能範囲の違いで、手頃なものから高精度な工業用まで数多く存在します。

デスクトップタイプ
デスクトップタイプの3Dレーザースキャナーは、一定の場所に設置して使用するのが特徴です。比較的小さい物体のスキャンに適しており、計測範囲が限られています。その反面、範囲内におけるスキャンの解像度を高く設定できる機種も多く、利用用途が明確に当てはまる場合は非常にメリットの大きいタイプです。価格相場は10~300万円とされています。

業務用・工業用
上記2つのタイプの中でも性能が高く、精密機器から大型構造物まで多種多様な対象物を高精度でスキャンできる機種は工業用途にも活用できます。そういったグレードになると300万円以上が相場であり、商品によっては1,000万円以上する場合もあります。ただデータ取得ができるだけでなく、公的機関によって機器の精度が保証され、品質管理などの現場で広く利用されます。

実際の3Dレーザースキャナーを活用しようとした場合、機器本体以外にも導入の際には幾つか必要になるものがあります。導入の際には機器のみのスペックのみでなく総合的なコストを考慮する必要があります。
3Dレーザースキャナー本体の価格以外に必要となる費用
導入費用
機器を導入する際には本体価格はもちろんですが、使用方法のレクチャーなどの教育費用が必要になる場合があります。専門的な領域で使用する機器であるため、使用する上で出てくる用語も自ずと専門的になります。スムーズに活用をしていくためにも、導入教育の受講を強くおすすめします。
ソフトウェア
3Dレーザースキャナー本体はあくまで3Dデータを取得する機器であるため、測量の分野に限らず、取得した3Dデータを活用するためのソフトウェアが別途必要になります。目的に合わせて、それぞれの分野に適したソフトウェアを選定する必要があります。
パソコン
3Dレーザースキャナー本体で取得した点群データを取り扱うためにはパソコンが必要です。さらに3Dデータへの変換の際には、かなりの量の計算を同時に行う必要があります。それに伴い相応のスペックを持つパソコンが必要です。主にメモリやGPUなどの項目が優れていることが重要です。家電量販店で購入可能な機種ではスペックが不足している場合も多いので、パソコンの専門店での購入を検討してください。
保守・サポート費用
使用していくうえでの維持費として、点検・修理などのサービスを受けるために保守費用が発生します。また高精度測定に用いる高額機種においては、定期的に精度確認を行う必要があります。そのために公的認定機関による校正検査を行うために費用が発生します。
3Dレーザースキャナーの選び方のポイント
✓サイズ
✓材質
✓要求精度
✓価格
機種を選定する上で、まずは「どんな目的で使いたいのか」を明確に定める必要があります。ここまでの解説の通り、3Dレーザースキャナーの種類は多岐にわたります。対象物の大きさや材質で選定すべき機種が異なります。導入の目的をいくつかのポイントで評価し、それぞれの要素でどういった機種を選定するべきなのか確認していきましょう。
✓サイズ
まず対象物のサイズによってハンディタイプかデスクトップタイプかが判断できます。先述の通りハンディタイプは大型、デスクトップタイプは小型の対象物のスキャンに向いています。さらに大型な建造物や、部屋の内部空間そのものをデータとして取得したい場合にはまた別の専用機種の選定が必要になります。
✓材質
光を当てて反射した情報から点を取得する仕様上、対象物が適切に光を反射しなければいけません。例えば黒色であったり金属光沢の強い材質の場合、データ取得が困難になる場合が多いです。レーザー光源の種類によっては上記のような材質でもデータ取得が可能な機種もあるため、対象物の材質も機種検討において重要な要素です。またガラスのような透明なものは光を透過してしまい反射されないため、そのような材質をスキャンしたい場合には専用のスプレーなどを使用して一時的に着色するなどの工夫が必要になります。
✓要求精度
データ活用の目的に合わせて、取得するデータへの要求精度もまちまちになってきます。精度良く取れるに越したことはない。という意見もありますが、データ取得精度の高い機種は比例して価格も高くなります。コストも加味すると目的に合わせた精度の機器を選定することが重要になってきます。
✓価格
最終的にはやはり価格で検討されることが多いかと思います。ただしここで重要なことは目的に合った機種であるかどうかという点です。導入コストを下げようとするあまり、目的を見失い、結果としてうまく活用できないままで終わってしまうという場合も多く見られます。他にも、まずは安い機種から使ってみたいというケースも見られます。リスクヘッジとしてこういったプロセスも重要ではありますが、根本的に安い機種では対応できない用途もありますので、目的に合った適切な機種を導入することがやはり最善と言えます。
3Dスキャナーを導入するなら

今回は測量用途における3Dスキャナーの活用方法をご紹介いたしました。
3Dスキャナーには測量の他にも、製造品の検査計測やリバースエンジニアリング、デジタルアーカイブなど、様々な用途があります。
計測、リバース用途の3Dスキャナーの導入をご検討中の方は、下記お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
豊富な知見で、お客さまに最適なソリューションをご案内いたします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は測量の分野で活躍が期待できる3Dレーザースキャナーについてご紹介していきました。今なお目まぐるしい発展を続ける3D業界において、測量の分野でも今よりも便利な活用方法が開発されていくかと思います。是非これを機に3Dレーザースキャナーの導入をご検討ください。