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三次元測定機とは?種類別の用途や仕組み、選び方を紹介

ものづくりの現場において、製品の精度を保証するための三次元測定機は不可欠な存在です。近年では精度の高いさまざまな種類が登場しており、用途に応じて選択肢が広がっています。本コラムでは三次元測定機の基本的な仕組みをはじめ、種類別の多様な用途、そして後悔しないための選び方のポイントを詳しく解説します。三次元測定機の導入を検討している方や、選び方について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

三次元測定機とは何か

三次元測定機は、文字通り、対象物の形状や寸法を3次元(X, Y, Z座標)で精密に測定するための装置のことです。測定の方法はいくつかありますが、いずれも測定対象に対して複数箇所の点を取得していくことに違いはありません。取得した点の情報から座標を取得し、座標情報から3次元的な形状を把握していくことができます。こうして取得されたデータは、点群データやメッシュデータとして取り扱われ、シミュレーションをはじめとするPC上でのデータ管理に広く活用されています。

三次元測定機のメリットとは

三次元測定機は、従来の多くの測定用ハンドツールと異なり非常に自由度の高い測定を行えることにあります。従来のハンドツールでは目的に合わせてマイクロメーターやノギスなどを使い分ける必要がありました。一方で三次元測定機では複合的に測定を行うことが可能です。さらにデータ上の仮想点を用いた測定ができる点も大きなメリットです。例えば穴の中心点同士の距離などの測定ができる点で非常に有用です。

このように従来技術に対して、自由度が高く、かつ高精度に測定できることから、あらゆる測定を可能にする万能な測定器と呼べます。

三次元測定の用途

三次元測定技術は、その優れた性能から様々な面で製造業を支えています。実際の用途を既存技術と比較しながらその有用性を読み解いていきます。

●品質管理・検査

製造された部品が、設計図通りの寸法や形状になっているかを精密に検査します。緩やかにカーブした曲面などは、従来の測定器では評価が難しいですが、三次元測定機であれば容易に測定可能です。専用のソフトウェアと併用することで、測定結果を一括でデータ管理することも可能です。また製造品の品質管理に限らず、生産工程の治具の摩耗検査や、塑性変形試験の結果調査などの非破壊検査においても活躍します。

●リバースエンジニアリング

図面がない既存の製品や部品を測定し、その3Dデータを作成します。このデータをもとに、複製や改良、解析などを行うことができます。また組付けの差によって生じた微妙な個体差もデータ化することができるため、1つの現場に対して最適な治具の設計や、個人の手足にフィットする装具の設計などにも活用できます。

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●デジタルアーカイブ

主に文化財などを3Dデータとして保存する際に活用されます。後述される非接触式の機材を活用すると重要な文化財に一切触れることなくデータ化することが可能です。他にも自社製品の3Dデータを作成してARやVRなどに活用されるケースもあります。メタバースが注目される現代において手軽にデータ作成ができるツールと呼べます。

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●3Dプリンター用データの作成

取得した3Dデータは3Dプリンターでそのまま印刷することも可能です。取得した3Dデータにオリジナルの工夫を加えて印刷することで付加価値を与えることも可能です。ほかにも破損状況の確認のために取得データを印刷することで修復までのデモンストレーションを行う目的などにも活用されます。

三次元測定機の種類

三次元測定機は、測定点の取得の方法の違いによって接触式と非接触式と呼ばれる2つに分類されます。いずれの方式も得意不得意がありどちらの方が優れているといったものではありません。それぞれの特徴を理解し、目的に合わせて使い分ける必要があります。

接触式

三次元測定機の中で最も代表的なタイプです。プローブと呼ばれる、機械の先端に設置された球や針を測定対象に接触させ、その接触点の3次元座標を読み取ります。高感度の接触式センサーにより、きわめて高精度な測定が可能ですが、測定対象によっては測定に時間がかかる場合もあります。また接触に伴って形状が変形してしまったり、動いてしまうような物は測定対象として不向きです。形状の細部まで取得できるため成型品の深穴検査や刻印の凹凸などの測定も得意としています。接触式の中でもアーム型、門型など構造によってさらに細かく分類されます。

非接触式

レーザー光や特定の光パターンを対象物に照射し、カメラで捉えた光の変形や反射から3次元形状を読み取ります。カメラでとらえた範囲の点を一度に取得できるため、高速で広範囲のデータを取得でき、複雑な自由曲面の測定に適しています。光の反射を読み取る必要があるため、透明なものなどの光の反射に悪影響のある素材は測定対象として不向きです。また光の吸収が強い黒色な材質も苦手とされますが、高価格帯の機種に多く搭載されている光源は問題なくスキャン可能です。使い方によって種類はさらに分岐し、ハンディタイプや据え置きタイプがあります。

SHINING3Dの3Dスキャナー

最後に弊社が取り扱う測定用ソリューションとしてSHINING3D社製の3Dスキャナーをご紹介します。

SHINING3D社製の3Dスキャナーは、前述の非接触型の三次元測定機に分類される機種です。その特徴はユーザビリティに特化した使いやすさと、安価ながら実務に最適な精度を両立するコストパフォーマンスの高さです。中でもFreeScanシリーズは、ハンディタイプであり非常に軽量です。フルワイヤレスタイプの機種もあり、さらに自由度の高い測定が可能です。ラインナップの中には、接触式と非接触式を両立させたトラッカータイプの機種もあり、豊富な選択肢からご用途に合わせた最適な機種をご提案可能です。ご検討の際にはぜひ下記お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。以下バナーから、おすすめの3Dスキャナー情報をチェックしていただけます。こちらも合わせてご覧ください。

3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説 -
3Dスキャナーとは?選び方とおすすめ機種を解説

まとめ

いかがでしたでしょうか。現代の製造業を支える三次元測定機について、その機能と用途を中心にご紹介していきました。3次元でのデータの取り扱いが主流になった現代において、手軽に3Dデータが取得できるツールは今後更なる発展を遂げるとされています。三次元測定機をお持ちの方はより良い活用を、まだお持ちでない方はこれを機にご導入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

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著者:日本3Dプリンター株式会社 技術部

さまざまな3Dデジタルソリューションを提案する日本3Dプリンター株式会社技術メンバーです。
3Dプリンター/3Dスキャナーのエキスパートとして、皆様に有益な情報を発信していきます。

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